Question
プラークは何日たつとう蝕(むし歯)になるんですか?
Answer
糖摂取時に歯が溶けるかどうかは、バイオフィルムの成熟が影響します。
歯磨きを数日間中断してプラークを成熟させ、10%スクロース溶液で洗口を行った研究により、「プラークの成熟が2日を超えると、糖が口腔内に入ってきた後に歯が溶けやすい状態になる1),2)」ということがわかりました。
歯磨きが歯を溶けにくくする
ステファンカーブで有名なStephanは、ブラッシングの有無が歯面に付いたプラークが歯を溶かしやすいかどうかについて調べています3),4)。
ブラッシングを3~4日中断して前歯に付いたプラークを成熟させ、ブドウ糖溶液で洗口すると、1~2分でプラークの中は歯を溶かしやすい状態になり始めました(脱灰)。その後、唾液の緩衝能により30~60分かけて徐々に回復しました(再石灰化)。
そこで今度は、左側前歯のプラークをブラッシングで除去して、もう一度ブドウ糖溶液で洗口しました。すると、ブラッシングをした部位は歯が溶けやすい状態にはならなかったのです。歯面にバイオフィルムが付いていなければ、飲食をしても歯が溶けやすい状態になりにくいことがわかります。
1) Imfeld T, Lutz F. Intraplaque acid formation assessed in vivo in children and young adults. Pediatric Dentistry. 1980; 2(2): 87-93.
2) Imfeld T. In vivo assessment of plaque acid production. A long-term retrospective study. In: Health and sugar substitutes. ERGOB conference on sugar substitutes, Geneva, 1978: Proceedings. Karger, 1978; 218-223.
3) Stephan RM. Changes in hydrogen-ion concentration on tooth surfaces and in carious lesions. J Am Dent Assoc. 1940; 27(5): 718-723.
4) Stephan RM, Miller BF. A quantitative method for evaluating physical and chemical agents which modify production of acids in bacterial plaques on human teeth. J Dent Res. 1943; 22(1): 45-51.
※参考書籍
「カリエスブック」 伊藤直人 著 医歯薬出版株式会社