Question
舌痛症の特徴って何ですか?
Answer
舌に疼痛ないし違和感を訴える疾患の中で、器質的な変化が認められず、さらに神経痛や関連痛等が除外された、いわゆる“原因不明”の舌痛症状が持続する病態を「舌痛症」と呼びます。
ある研究では、狭義の舌痛症を「心理情動因子に起因し、舌に異常感を訴えるが、それに見合うだけの器質的(肉眼的)変化がないもの」と定義しています。
永井哲夫:舌痛症. 歯科心身医学(日本歯科心身医学会 編), 247-256, 医歯薬出版, 東京, 2003.
舌痛症は、舌の側面や舌の先など歯と触れるところがヒリヒリ・ピリピリします。
舌痛症の臨床的特徴
- 男女比は1:4~1:8で女性、特に40~50歳の中高年の発症例が多い。
- 痛みの訴えは舌尖、舌縁に多い。
- 歯科治療を受けた頃からはじまることもあるが、誤って噛んだキズや口内炎のほか、きっかけが見当たらないケースも多い。
- 痛みの表現が「ヒリヒリ」「ピリピリ」「チリチリ」など、疼痛より異常感を訴える。
- この異常感は、摂食時には消失するか軽減する。
- 原因不明の舌のヒリヒリ感が慢性的に続く。
- 舌が何かに触らなくてもヒリヒリ感がある(自発痛)。
- 飴やガムなどを常食して痛みを和らげている。
- QOLには影響しないが、本人は一日中、切実に悩んでいる。
- 仕事や好きなことなど何かに集中しているときには感じず、何もしていないときに強く感じる。
- 感じる部位に意識を向け、セルフモニタリングを常にしている。
- 手鏡などで舌の形態・色調を頻繁に観察する行為が多い。
- 舌粘膜の一部や舌苔を舌癌ではないかと疑い、「癌恐怖」を伴うことがある。
- 朝よりも夕方から夜にかけて痛みが増しやすい。
- 痛みは多くの場合起きている間にあり、就寝中はない。
- 時間帯や日によって痛みの程度や場所が変動する。
- ロキソニンやボルタレンなどの鎮痛薬が効かない。
※参考書籍
「nico 2020.3 クインテッセンス出版株式会社」
「対応に困る患者さんたち」
編著 岡田智雄 株式会社ヒョーロン・パブリッシャーズ