Question
今ビスホスホネート製剤(BP製剤)や抗RANKL抗体製剤を飲んでいます。抜歯さえしなければ、顎骨壊死(ARONJ)の心配はしなくていいでしょうか?
Answer
顎骨壊死(ARONJ)の発症予防には「抜歯をできるだけ避ける」、やむを得ず抜歯するなら「骨吸収抑制薬(ARA)を抜歯前に休薬する」という対応がなされてきました。
しかし、抜歯を行わなくてもARONJは多く発生しています。抜歯の原因となる歯周病や根尖病変のような局所感染から進展したARONJ症例だけでなく、抜歯を避けることや、休薬している期間に局所感染が持続・悪化し、ARONJに至る症例も多いという報告があります。
また、抜歯前のARA休薬でARONJ発症を予防できるエビデンスはなく、休薬で待機中にも局所感染が持続し増悪することで骨髄炎に進展する可能性があるため、休薬すべきではありません。外科処置が必要な場合は、「飲み始める前に(=累積投与量が少ないうちに)」完了させておくことが重要です。
※参考書籍
『「人生100年時代」のインプラント治療の考えかた』
窪木拓男、鈴木秀典 編著 永末書店