Question
アナフィラキシーショックって何?
Answer
アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に漸新世にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」です。この過敏反応により、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、生命を脅かす危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。
厚生労働省の調べでは2017年では50名の死亡症例があり、食べ物は4名であるのに対し薬物では死亡者数は24名です。また、摂取からアナフィラキシー発症までの時間は、食べ物では30分かかるのに対し薬物では5分程度で発症すると報告1)されています。また、二相性にアナフィラキシーが発現することもありますので、十分な注意が必要です。
アナフィラキシーはさまざまな症状を示し、最も多いのは蕁麻疹やかゆみなどの皮膚・粘膜症状です。次に多いのは呼吸器症状で、呼吸困難感や喘鳴、気道の狭窄などを認めます。
鑑別のすべき疾患として、喘息、不安・パニック発作などがあげられます。喘息と共通する症状としては、喘鳴や息切れがあげられます。しかし喘息発作では掻痒感や蕁麻疹、腹痛、血圧低下は起こりません。不安・パニック発作では息切れや皮膚の紅潮、頻脈、消化器症状が起こりますが、蕁麻疹や喘鳴、血圧低下は生じません。
アナフィラキシーの主な症状と出現率
(Lieberman et al, 20052)をもとに作成)
主な症状 | 出現率(%) |
---|---|
皮膚症状 蕁麻疹、血管浮腫 顔面潮紅 発疹のないかゆみ |
90 85~90 45~55 2~5 |
呼吸器症状 呼吸困難、喘鳴 咽頭浮腫 鼻炎 |
40~60 45~50 50~60 12~20 |
めまい、失神、血圧低下 | 30~35 |
腹部症状 嘔気、下痢、腹痛 |
25~30 |
その他 頭痛 胸痛 |
5~8 4~6 |
1)Pumphrey RS. Lessons for management of anaphylaxis from a study of fatal reactions. Clin Exp Allergy. 2000; 30: 1144-1150.
2)Lieberman P, Nicklas RA, Randolph C, Oppenheimer J, Bernstein D, Bernstein J, Ellis A, Golden D, Greenberger P, Kemp S, Khan D, Ledford D, Lieberman J, Metcalfe D, Nowak-Wegrzyn A, Sicherer S, Wallace D, Blessing-Moore J, Lang D, Portnoy JM, Schuller D, Spector S, Tilles SA. The diagnosis and management of anaphylaxis: an updated practice parameter. J Allergy Clin Immunol 115; S483-S523, 2005.
※参考書籍
「歯界展望別冊 Q&A 歯科のくすりがわかる本 2020」
一戸 達也 編 医歯薬出版株式会社