Question
お口の中にインプラントが入っていると、CTやMRIなどの画像検査を受ける際に影響がありますか?
Answer
あごのCT検査の場合、インプラント部分にX線が当たると、画像上わずかに影響が出ることがありますが、ほかのからだの部位のCT検査に影響はありません。
MRI検査の場合は、使用している金属によっては、注意が必要です。鉄やコバルト、ニッケルなどの強磁性体を装着している患者さんのMRI画像は歪み、特に脳領域の影響が強いことが脳疾患を生じた際に懸念されています1),2)。
しかしながら、すべての金属がMRIで金属アーチファクト(撮影時に発生するノイズ)、発熱、磁力に伴う位置変化が生じるわけではありません。磁場にさらしても磁化しない非磁性体金属(チタン、金、銀、パラジウムなど)は、MRIに対して安全で影響のない金属とされています。
現在では、体内に埋め込む医療用器具である脳動脈瘤のクリップや骨折時の金属プレートは非磁性体のチタン製となっています3),4)。
1)Kaneda T, Minami M, Curtin HD, et al. Dental bur fragments causing mental artifacts on MR images. AJNR 1998; 19: 317-319.
2)Asano S, Kaneda T, Fukuda T, et al. Influence of metal artifact by orthodontic appliances on brain MRI. Metal artifact experiment and young volunteer study. Int J Oral-Med Sci 2016; 14(4): 74-81.
3)岡野友宏, 小林 馨, 有地栄一郎編. 歯科放射線学. 第6版, 東京:医歯薬出版, 180-190, 2022.
4)日本口腔外科学会編集. 口腔外科研修ハンドブック. 第1版, 東京:医歯薬出版, 15-21, 2022.
※参考書籍
『やっぱり大切!「かめる幸せ」をとり戻す』
日本口腔インプラント学会 朝日新聞出版
「日本口腔インプラント学会誌 2023.9 vol.36 No.3」
公益社団法人 日本口腔インプラント学会