Question
歯に外傷をおったときはどうすればよいですか?
Answer
外傷歯の特徴と、種類についてご説明します。
外傷歯の特徴
1.う蝕や歯周病とは違って急性の疾患です。
2.感染のない、もしくは少ない歯科疾患です。
3.比較的低年齢層によく見られますが、若年者であるため高い生体治癒力を期待できます。
診査項目
問診、口腔内写真、エックス線写真検査(CT含む)、視診、温度診、電気歯髄診断など
外傷歯の分類
1.破折性の外傷
2.脱臼性の外傷
以上の2つに分類されます。どちらにも該当する外傷歯も存在します。
それぞれについて解説します。
1.破折性の外傷
なるべく神経を残して抜歯しないよう、保存を第一に考え処置します。
歯冠部の破折であれば、なるべく破折片の再接着、なければCR(樹脂)により修復します。
歯根部の破折は、その部位によってやむなく抜歯する場合もあります。
2.脱臼性の外傷
症状によって4つに分類されます。それぞれ特徴・対応について説明します。
2-1.亜脱臼
■特徴
歯内と歯牙の境の溝から出血します。高い動揺はあるものの、変化はありません。
■対応
通常経過観察のみ行います。動揺度によっては固定します。
外傷を負った後、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年と以下の検査を実施し、必要に応じて根管処置をします。
いったん死んだ神経が6ヵ月、1年後生きかえる場合もあります。
・エックス線写真検査(CT含む)
・視診(歯冠の変色度など)
・打診、電気歯髄診断
※神経のない歯の変色に対し、ウォーキングブリーチという漂泊法があります。
漂白剤には、過ホウ酸ナトリウムと3%過酸化水素水を混合したものを使用します。
約1週間に1度、1症例3~4回の薬材の交換を行います。
加藤歯科医院では1症例の価格を¥10,000(税抜)で行っております。
2-2.挺出性脱臼・側方性脱臼
■特徴
脱臼により、明らかな位置異常が見られるもの。
■対応
1~3週間の固定。
20才ぐらいまでは神経の自然治癒が期待できる場合もあります。
(トランジエント・アピカル・ブレイクダウン)
ほとんどの場合、2週間以内に根管処置を行います。
2-3.埋入
■特徴
骨の中へめり込んでしまった状態。基本的に動揺しません。
打診に対し、痛みを感じにくく、高い金属音を奏でる特徴があります。
■対応
神経の治癒はほとんど期待できないので、根管治療は約2週間後に開始します。
埋入が浅い場合、自然挺出を待つこともあります。
埋入が深い場合、外科的整復を行い、固定は2~3ヵ月。
2-4.脱離
■特徴
歯全体が歯肉より完全に離れた状態。
■対応
元通りの位置で2~3週間固定します。
1~2週間後根管処置を開始します。
※「歯の保管方法について」
乾燥状態に30分以上放置すると元にもどしても正常に機能しなくなります。
外傷後すぐ牛乳中に保管した場合で6~12時間保管できます。
専用保存液(ティースキーパー「ネオ」/ネオ製薬)に浸しておくと、
24時間以内であれば(なるべく冷蔵庫で保管)元にもどすことが可能となります。
※浸透圧の関係上、決して消毒(薬を使用)せず、水道水での保管は避けてください。
簡便な方法として家庭用ラップに包む、 患者自身の口の中で保管をするなどがあります。
※参考書籍
「外傷歯の診断と治療」
月星 光博 著 (クインテッセンス出版株式会社)