Question
根面う蝕について教えてください。
Answer
根面う蝕とは、歯の根元のむし歯のことです。
加齢や歯周病に伴う変化として歯の根面が露出します。根面は、歯冠部のように強固で分厚いエナメル質で覆われているわけではなく、脆弱できわめて薄いセメント質で覆われているだけであり、そのうえ露出した根面には、特に隣接面の根面にはプラークが停滞しやすくなります。さらに、患者さんにとって根面はブラッシングも行き届きにくく、根面う蝕の存在に患者さん自身も気づかない場合が多いのです。このような背景のため、露出した根面はう蝕に罹患しやすく、その存在に気付いた時には、すでに大きなう窩のため手遅れ状態であったり、咀嚼や歯ぎしりなどの外力により脆弱となった歯が歯頚部で破折する危険性も高くなります。
また、根面う蝕では、歯冠部のエナメル質う蝕とは異なり、脱灰軟化がたとえ深部まで進行していても、う蝕の表面には大きな欠損のみられない場合も多いのです。さらに歯頚部は、形態的に広範囲にプラークが停滞しやすいうえに、歯根面は耐酸性が低いため脱灰が側方に広がり、歯頚部を取り巻き環状に広い範囲に軟化が生じることも少なくありません。
このような根面う蝕は、病変の辺縁や深度も不明瞭であるため、削除する範囲も深さも判別が困難であることから、修復操作が容易ではありません。
※参考書籍
「う蝕治療ガイドライン 第3版」
日本歯科保存学会 編 永末書店