Question

糖尿病になると口の状況も10年早く年を取ると聞きました。本当ですか?

Answer

本当です。現在は、ちょっと早めの診断・治療が有効です。

糖尿病と口のなかの状況には、次の関係性があります。

1.歯が悪くなりやすい

むし歯や歯周病にも注意が必要です(痛みが出るだけではなく、抜歯も多いです)。

8020運動(80歳で20本の歯を残す)を目指しましょう。

 

他にも口以外との関係性には、次のようなものがあります。

2.脳卒中(脳梗塞)や認知症になりやすい

軽症糖尿病といえども侮れません。初めは誰でも軽いと思いがちです。

3.目が悪くなりやすい

網膜症だけではなく、白内障や黄斑浮腫も早く起きやすいです。眼科受診を忘れないようにしましょう。

4.狭心症や心筋梗塞になりやすい

無痛性のこともあります。定期的に心電図検査を受けよう。未然の発見に運動負荷心電図検査が有効です。

5.感染症にかかりやすい

かぜのときには急性肺炎に厳重注意です。かつては肺結核の合併症も多かったです。

6.腎臓がわるくなりやすい

新規透析導入患者さんの原疾患のほぼ半数を糖尿病腎症が占めています。血圧管理・食事療法が重要です。

7.骨がもろくなりやすい(骨粗しょう症)

骨折にも要注意です。肥満があると運動器疾患(腰痛や膝の痛み)も多いです。

8.神経障害

しびれ(ビリビリ、じんじん)や感覚鈍麻があります。知らぬうちに足にけがややけどを負うこともあります(普段のフットケアが重要です)。神経痛(三叉<さんさ>神経痛・坐骨神経痛)や顔面まひ・運動神経まひ(複視)などもあります。自律神経障害(頻脈、胃拡張、便秘、勃起不全など)も少なくありません。筋肉の衰えも招きやすいです。

9.皮膚疾患

角化しやすく(うおのめ、たこ)、一方で皮膚が薄くなります。足感染症(おできなど)や足・爪白癬(はくせん)にも注意が必要です。水疱(すいほう)や潰瘍などができることもあります。皮膚掻痒(そうよう)症や帯状疱疹(たいじょうほうしん)も少なくありません。足のおできや丹毒も早めに治療しましょう(下肢全体に広がることも)。

10.間欠性跛行(かんけつせいはこう=歩行時の下肢の痛み)や壊疽(えそ)になりやすい

世界的には、下肢切断などもまだまだ多いようです。我慢せず、すぐに検査を受けましょう。

 

【注意事項】

1.治療の鉄則は「ウサギよりカメ」と心得よう。
2.高血圧、脂質異常症、痛風(高尿酸血症)などを伴いやすく(肥満があるとさらに増える)、また、これらが糖尿病合併症をさらに悪化させることが分かっていますので、併せて治療しましょう。

※参考書籍
 「月刊 糖尿病ライフ さかえ 2018年3月号」 日本糖尿病協会

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