Question
口唇の成長について教えてください。
Answer
口唇は成長に伴い摂食機能の発達によりその運動機能が口唇形態に大きく影響することから、口唇診査は乳幼児の摂食機能の発達段階を知るためのスケールとして活用できると考えられます。
口唇の形態から口唇機能の発達の遅れや低下、摂食機能以外の口腔機能の発達への影響などを推測し、さらにはその背景にある育児や保育環境での子どもの生活を想像することができます。つまり、口唇の機能はすべての口腔機能に関わっていることから、口唇を健全に成長させることは口腔機能全体の質を高めることになります。
口唇の働きは、摂食機能の咀嚼や嚥下だけでなく、鼻呼吸の管理や構音機能、表情の形成や歯列と咬合の育成にまで広く関わっていることからも乳幼児の口唇診査は大変意義のあることだと考えられます。
口唇の動き
- 摂食機能の捕食
- 咀嚼中の食物の口腔外への漏出防止
- 摂取した食物の温度やテクスチャーによる食物選択や危険回避
- 咀嚼運動における食塊形成のための食塊の移送と把持
- 嚥下における上中咽頭収縮筋による咽頭収縮の補助的働き
- 鼻呼吸時の咽頭と口腔の2次閉鎖
- 構音機能(口唇音の形成)
- 前歯の歯列形態の支持(前歯歯列ガイドライン)
- 口腔疾患予防(口腔乾燥、感染防止)
- 口腔運動としての「吸う・吹く」などの運動形成
- 表情の形成
※参考書籍
「小児歯科臨床 2020年4月号」 東京臨床出版