Question
今、がん治療中ですが、極度の口腔乾燥に悩んでいます。どうしたらいいでしょう?
Answer
特にがん患者には重篤なものが多いです。理由として、以下の4つがあります。
1.唾液分泌量の減少
- 抗がん剤や放射線による唾液腺の傷害
- 薬剤の副作用
- 咀嚼運動の減少
- 交感神経優位(緊張・ストレス)
2.唾液粘稠度の増加
- 漿液性細胞が早期に傷害されやすい
- 交感神経優位(緊張・ストレス)
3.唾液蒸発量の増加
- 口呼吸
- 開口状態の増加
- 酸素吸入
4.脱水
- dry sideの維持管理
- 水分摂取の不足
- 血管外への体液の移行(ネフローゼ等)
- 体液の喪失(嘔吐・下痢等)
口腔乾燥症への考え方・対策
1.唾液量を増やす(原因療法)
①唾液分泌抑制の原因を除去する
②唾液分泌促進薬の使用
③よく噛んで食べる
④唾液腺をマッサージする
⑤すっぱいものを食べる
⑥10%キシリトール水のスプレー
2.蒸発量を減らす(原因療法)
①マスクの着用
②水で湿らせたガーゼを口にあてる
3.口腔内の保湿(対症療法)
①保湿方法
- スプレー等で頻回に少量の水分を口に含む
- アイスボールをゆっくりなめる
- 保湿剤の使用
- 過度の含嗽は逆効果
※1つの方法だけを漫然と続けるのではなく、色々な方法を行ってみましょう。
②保湿剤
- 水
- 保湿剤(ジェルタイプ、洗口液タイプ、スプレータイプ)
- 人工唾液
- レモン水
- 10%キシリトール水
※保湿剤の選択方法
目的 | 症状 | 保湿剤 |
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水分を付加する |
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清涼感を与える |
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口腔粘膜を保護する |
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4.疼痛のコントロール
約70%に表在性疼痛があります。
①保湿
- 水による口腔内の湿潤
- 保湿剤
②局所麻酔薬
- 生食水+4%キシロカイン®(10~30ml)
- キシロカイン®ビスカス
③NSAIDs
- シロップ
- 錠剤
※参考
「歯科医療の原点と将来を見据えて DVD」より
【開業医にもできるがん患者の口腔健康管理 杉政和先生】