Question

加齢で口腔機能にどのような変化がありますか?

Answer

福岡県に在住する80歳の住民約700人を5.5年間追跡し、口腔機能と死亡との関連を検討した研究によると、残存歯数、歯磨きの回数、定期健診の回数が多い人ほど死亡リスクが低いことが報告されています。1)

また、残存歯数は寿命に関係するさまざまな因子の影響を調整したうえでも長寿と関係があり、残存歯数と生存期間との関連を結ぶ経路として、口腔機能低下による栄養摂取の変化が考えられます。すなわち、歯の喪失によって野菜類の摂取量が減少し、抗酸化ビタミンや食物繊維などが不足しやすくなります。また、タンパク質の摂取も減少することが、その要因として考えられます。

8020達成者が51.2%(平成28年歯科疾患実態調査)となり、残存歯数の増加がみられたとはいえ、高齢者においては、加齢とともに有床義歯を必要とする人が急速に増加します。したがって、機能する残存歯の増加や有床義歯補綴による口腔機能の維持・改善が極めて重要になります。

1)Ansai T, et al: Relationship between tooth loss and mortality in 80-years-old Japanese community-dwelling subjects. BMC Public Health, 10: 386, 2010.

※参考書籍
 「聞くに聞けない補綴治療100」
 監修 河相安彦、鷹岡竜一 デンタルダイヤモンド社

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