Question
血糖コントロールによって歯周病が改善しますか?
Answer
コントロールされていない糖尿病患者では歯周病が重症化し、歯を失うリスクも高いことから、血糖コントロールを行うことは重要です。血糖コントロールが歯周病に与える影響について、血糖コントロールを行わない群をコントロールとしてランダム化比較試験を行うことは倫理的に困難です。また、血糖コントロールを強化療法群と通常療法群に分けて歯周病に与える影響について検討したランダム化比較試験はいまだ報告されていません。前後比較試験においては、糖尿病治療による血糖コントロールの改善に伴い歯肉の炎症の改善がみられましたが、歯周ポケットやアタッチメントレベルの改善は認められていません。
糖尿病治療そのものによる歯周組織の改善については報告が少なく、さらなる研究が必要です。しかし糖尿病治療による歯周組織の改善は限定的であり、原因であるプラーク細菌に対する歯周治療を行わずに、糖尿病の治療のみで歯周病の改善を期待することは推奨されていません。ただし、コントロール不良の糖尿病は歯周病のリスク要因になると考えられるため、歯周治療を成功させるうえでも糖尿病管理を徹底することは必須です。
糖尿病治療が歯周病の病態に与える影響については、ほとんど報告が認められていませんが、糖尿病治療による血糖コントロールの改善によって歯肉の炎症は改善するものの、歯周ポケットやアタッチメントレベルに有意な改善は認められないという報告があります1)。
1)Katagiri S, Nitta H, Nagasawa T, Izumi Y, Kanazawa M, Matsuo A, Chiba H, Fukui M, Nakamura N, Oseko F, Kanamura N, Inagaki K, Noguchi T, Naruse K, Matsubara T, Miyazaki S, Miyauchi T, Ando Y, Hanada N, Inoue S. Effect of glycemic control on periodontitis in type 2 diabetic patients with periodontal disease. J Diabetes Investig. 2013; 4: 320-5.
※参考書籍
「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改訂第2版 2014」
特定非営利活動法人 日本歯周病学会 編 日本歯周病学会