Question

歯槽膿漏時のみがき方について教えてください。

Answer

歯周病(歯槽膿漏)はずっと同じやり方では治りません。

症状改善に伴って、磨き方を変更し、たえず最善の刺激を与え続けることが回復の秘訣です。

1.磨きはじめ

磨きはじめに最も大切なことは、「決して痛くしない」ことです。油絵用の画筆など、決して痛くない極軟毛ブラシを使いましょう。一か所ずつ意識して、じっくり確認しつつ磨きます。それでも痛い恐れがありますから、初めは毛を寝かせ気味にします。痛くないことを確認し、出血もなければ、日を追って毛を立ててゆきます。

注意点として、ブラッシングしているのに何度も腫れるようなら、歯ぐきに関心の強い歯科医院へ行ってください。専門的な処置が必要になります。

 

2.腫れが静まったら

次は歯ブラシを使います。ひどい腫れが一段落した部分や、そう腫れていなかったので最初から歯ブラシで磨きはじめた部分は、(1)毛を寝かせ気味にする、(2)直角に当てる、(3)歯ぐきに突き立てる、と変えてゆきます。痛くなく、出血しない場合は、1~2日で次の段階に進め、突き立てて磨いても大丈夫なら、ブラシを一段階硬めのものに変えてもよいでしょう。ポイントは「歯と歯ぐきの境目と、歯冠部(歯と歯の間)の歯垢除去」です。歯間に毛先を突っ込み、振るわせなければ、ここの歯垢はとれません。一~二列の毛のブラシを使いましょう。

ブラッシングし始めた当初から、悪い部分と比較的良好な個所とでは、当然用いるブラシも異なってきます。二種類以上の適切なブラシを併用するのがブラッシングの必須事項です。

 

3.歯間空隙重点期

ブラッシングを続けると、歯ぐき(歯の根元から5~6ミリ幅)の色が、それより外側の粘膜部より淡くなり始めます。歯間部にこの時期、隣り合う2つの歯の間に三角形の隙間が出来てきます。これが歯間空隙です。

この状態では、軟毛ブラシ(軟らかめより一段軟毛のブラシ)を歯間に突っ込み、振るわせます。二列以下でないと、毛がよく入りません。歯ぐきが下がってきて、「歯が長くなった」と感じる人も多いと思いますが、この場合、「昨日までは毛先が届いたのに、同じ磨き方では今日はもう毛先が届かず、磨けない」ということになってきます。そこで、次のように磨きましょう。

(1)かなり力を入れ、ブラシを当てると歯肉が白っぽくなるくらい、歯間に圧しつけてゆく
(2)必要であれば、ブラシの握り方をペン方から「わしづかみ」にする

歯肉鍛練のため、力は次第に「力まかせ」くらいに強めていきます。

また、フォーンズ法(後述参照)を併用すると、歯肉全体の活性が上昇し、悪い部分の回復にも効果があります。

 

4.くぼみ退治期(クレーター退治期)

順調な人で当初から1~2ヶ月、標準で2~3カ月で歯間空隙が広がってきます。

「突っ込み振るわせ磨き」が痛くないこと、歯間空隙が拡大し続けていること、出血はないことが目途になります。この段階では、市販の軟らかめブラシ(二列以下)で「突っ込み振るわせ磨き」を続け、別のブラシでフォーンズ法を併用してください。ブラッシングが定着し、気分もダレやすいので注意が必要です。

くぼみの中をしっかり磨くことで、腫れがなくなり下がった歯ぐきが、中の骨が再生してきて盛り上がってきます。

 

5.歯肉の後退

磨き続けてよくなってくると、歯間の歯ぐきが後退し、歯が長くなったように感じることが多いですが、これは回復の証拠です。女性は美容上気になるかもしれませんが、ぜひ続けて頑張ってください。

 

フォーンズ法

外側は歯を噛み合わせ、下あごを前に出し、大きな円を描くように上下の歯ぐきも一緒に磨きます。

裏側は平行線を描いて、手前にこすります。「ついでに歯を磨く」感じです。

こすって鍛えることが主な目的です。

歯間空隙重点期のブラシは「軟らかめ」(三~四列)です。

くぼみ退治期のブラシは、市販の「普通」の硬さでよいでしょう。

 

補助器具

ブラッシングの補助器具に、ラバーチップ・ワンタフトブラシ・うがい液・歯間ブラシ・デンタルフロス・水の噴出機などがあります。それぞれ正しい使い方を歯科医院で教えてもらって、継続的にケアしましょう。

 

※参考書籍
 「歯槽膿漏 抜かずに治す」 片山 恒夫 著  恒志会

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