Question
噛みしめると力が出るというのは本当ですか?
Answer
噛みしめは静的筋力を増強し、動的筋力を低下させます。
噛みしめの筋生理学的本態は筋の共縮であるため、ウェイトリフティングの初動や綱引きのパワーホールドなどスポーツ動作において身体を固める(一定の姿勢を強く保持する)場合などの、静的筋力を発揮する時には有用です。
しかしながら、それ以外のスポーツ動作では、
1.拮抗筋を収縮させて競技スピードの低下を招く
2.呼吸リズムを乱してスキルを落とす
3.筋の弛緩を妨げ過緊張を誘発する
など、動的筋力の発揮にはマイナスの影響を及ぼします。
日本歯科医師会の広報誌のインタビュー記事の中で、世界陸上大会やオリンピックで金メダルをとったハンマー投げの室伏広治選手は「渾身の投げの基本は歯をくいしばらないこと」と言っています。
また、強い噛みしめは体幹の筋肉を緊張させて関節を固定するため、身体の柔軟性を低下させるということもわかっています。
他にも、噛みしめは高齢者や女性では役に立つこともあります。
詳しくはこちらのQ&Aを参照して下さい。
※参考書籍
「筋の生理から運動指導・手技療法まで 歯科臨床が変わる筋機能学こと始め」
竹内 正敏 砂書房