Question
痛みがあるのにすぐに治療してくれないのはなぜですか?
Answer
治療を始めるにあたって最も重要なのが診断です。診断には時間がかかるものもあります。
特に大切な診断は以下の4つになります。
1.原因歯の特定
痛みのある歯がどの歯なのかを決定することは、予想外に難しいことがあります。わからないままに次々と抜髄すると、歯科医も患者さんもどの歯が痛みの原因なのかわからなくなります。
2.原因の特定
歯髄、根尖歯周組織、辺縁性歯周組織、あるいはそのほかに原因があるのかを特定しなくてはなりません。たとえば、咬合が高いと、歯がしみると訴えることがあります。また、歯肉炎でも歯がしみるという場合があります。なんとなく変だ、違和感があるといったような弱い症状、たまにしか起こらない症状の場合には、原因の特定は困難を極めます。
例えば、むし歯がなく、深いポケットも見つからないが、患者さんは痛みを訴えているケースを考えて見ましょう。このような場合、抜髄する必要があるのでしょうか?
以下の点を考慮し、なるべく抜髄を避けるようにするのが適切だと考えられます。
- 慎重にむし歯の存在を調べる。
- きれいに適合している金インレーの下にむし歯、亀裂が見つかることもある。
- 隣在歯、対合歯も含め慎重に審査する。
- 歯肉炎、咬合も精査する。
- X線写真で歯冠歯髄腔が狭窄している場合には、歯髄に慢性の刺激が加わっていることの証拠である。
- 咬合が高いときには、しみるということも多い。
※「咬合が高い」=「噛み合わせが高い」
噛んだ時に他の歯よりも早く接触する状態のことをいいます。 - 歯冠の亀裂の存在を注意深く調べる。
3.歯を保存するか抜歯するか
その後の修復処置との関連で、どの程度その歯を残すことが重要であるか、総合的な診療計画に基づいて保存するか抜歯するかを決めなければなりません。
4.治療方針の決定
全体的な治療計画のなかで、最善と思われる治療方針を決定します。歯内療法の分野では、抜髄、感染根管治療、外科的歯内療法、意図的再植などから選択することになります。
※参考書籍
「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
小林 千尋 著 医歯薬出版株式会社