ドクター フランクリン・メソッド 首のリラックス 肩の解放

2015.03.09

この書籍では様々なエクササイズを紹介しています。
歯科に関係したエクササイズも掲載されていましたのでご紹介します。

●首のためにできること

■環椎と軸椎の筋肉

フランクリンメソッド1

後頭骨隆起の後ろの深部にある、短い首の筋肉群は首の位置の微調整をしています。後頭骨に付くこの筋肉は左右対になっています。

後頭骨の大きい筋肉は軸椎の棘突起から後頭骨に付きます。それより小さな筋肉は環椎の棘突起から後頭骨につながっています。この両方が頭を後ろに反らし、横に倒し、少し回転させています。下にある斜めの筋肉は環椎の棘突起から環椎の横突起に付きます。上にある斜めの筋肉は環椎の横突起から後頭骨につながっています。これらの筋肉は、毎日の生活の中で伸ばされる機会がほとんどありませんので、慢性的に緊張していることが多いのです。頭を前に傾ければこれらの筋肉は伸ばされますが、ほとんどの大人は下を向くときに首だけでなく背中も一緒に丸めてしまうため、首の上部の筋肉は縮んだままです。乳幼児は大人と反対に、頭蓋骨と環椎の間の関節を使い、首の筋肉を伸ばして下を向いています。

後頭骨の後ろにある筋肉は、頭蓋骨の開口部や脊髄に非常に近い位置にあるため、緊張してしまうと神経系統に深刻な影響を与える可能性があります。わずかな圧迫があっても、神経伝達はさまたげられてしまいます。これが理由で首や背中が痛くなるだけでなく、頭痛、片頭痛、エネルギー不足といった症状が発生するのです。

・首の筋肉をなめらかにする

このエクササイズは、背中全体をリラックスさせてくれます。

頭の後ろから首の筋肉まで、指をスライドさせます。頭を少し後ろに反らし、顎をリラックスさせ、もう少し深く指で首の筋肉に触れます。これが痛かったら、軽く触れてください。指で小さな円を描きながら、ここの筋肉がとてもやわらかくなるところをイメージします。やさしく呼吸をし、顎もゆったりしています。

では、環椎の上で頭を揺らしながら、首の筋肉が短くなったり長くなったりするのを感じます。首の筋肉がスライドする感じを思い浮かべてください。最初のうちはするすると滑る感じはないかもしれません。でもここであきらめず、もう少し続けましょう!

ここで、より上級のイメージをご紹介します(誰でもできます)。筋肉をスライドさせるのはATP(アデノシン三リン酸)という物質で、これが筋フィラメントの分離を可能にします。ATPはミトコンドリアという細胞内の小器官で生産されます。ATPはまさに、筋肉をやわらかくする分子なのです。

首の筋繊維に、たくさんのATPが流れ込んでくるところをイメージしましょう。この潤滑剤が筋肉をスライドさせます。ATPがある限り、筋肉は動いてくれます。

・頭の後ろに光る星

フランクリンメソッド2

首の後ろに星があって、それがぴかぴか光っているなど、だれが想像するでしょうか。この星は、軸椎の棘突起から放射している筋肉群でできています。とても明るい星をイメージするか、あるいは呼吸の助けを借りて、環椎の周囲が拡大するようなイメージを持ちましょう。環椎の横突起がチューインガムのように横に伸ばされて広くなるところを想像するのもいいですね。首の後ろの凹みから発する流れが頭の後ろを支えているのが感じられるでしょう。このとき、棘突起は下に沈んでいきます。

■胸鎖乳突筋

フランクリンメソッド3

胸鎖乳突筋はすぐに見つかる大きな筋肉です。頭を左に向けると、右の胸骨から乳様突起にいたる熱く張りだした筋肉が感じられるでしょう。これが胸鎖乳突筋で、攻撃的になったときに頭を前につきだす筋肉です。

この筋肉はまた、頭を回し、横に倒す筋肉でもあります。鎖骨と胸骨からはじまるこの筋肉の2つの“頭”は1つになり、後頭骨の乳様突起で終わります。ときにこの筋肉の全体の長さを感じることは重要です。首、腕が驚くほど伸びやかになり、頭は背骨の上の本来あるべきところに収まり、腕がずっと自由に動くようになります。

・胸鎖乳突筋を伸ばす

胸鎖乳突筋を伸ばしている間は、首の骨を曲げずにまっすぐに伸ばしていきましょう

まず、顎が胸郭に近づくように頭を前に傾けます。頭蓋底と環椎の間の関節だけを使った小さな動きです。次に左に頭を少し傾けると、頚椎に長いカーブができます。そこから今度は頭を回して、右の方を見ます。ゆったりとした呼吸を続け、引き伸ばされた脱脂綿のように右の胸鎖乳突筋が伸びているのを感じましょう。

このエクササイズで陥りやすい間違いは、頭を回すときに前に傾いている頭がまっすぐに戻ってしまうことです。簡単にできる動きではありませんが、しっかりと段階を踏んで行いましょう。

今度は反対側です。顎が胸に近づくように頭を傾けます。頭蓋底と環椎の間の関節だけを使った小さな動きです。次に右に頭を少し傾けると、頚椎に長いカーブができます。そこから今度は頭を回して、左の方を見ます。ゆったりとした呼吸を続け、左の胸鎖乳突筋が伸びているのを感じましょう。

■顎の筋肉をゆるませる

顎はさまざまな緊張を吸収するスポンジのようです。何かを言いたいときに口をつぐんでいることも少なくないし、ダイエットをしなくてはいけないのについ食べてしまうときは、顎が緊張します。怒りや悲しみを感じているときは顎をくいしばるし、姿勢がわるいと喋っているときにも顎を緊張させてしまいます。顎関節は身体の中で最も頻繁に使われる関節です。メイベル・トッドは、顎のもっとも重い部分は下顎骨の後ろだと言っています。それが側頭骨から下がっているところを想像してみましょう。

子宮の筋肉を除けば、身体で一番強いのは顎を閉じる筋肉です。対して、顎を開ける筋肉は非常に弱いものです。顎を開ける動作の大部分は、閉口筋がリラックスすることでなされます。その昔は歯をくいしばることの方があくびをすることより重要だったようです。多くの人が、顎が緊張しだすと片頭痛や頭痛がはじまると言います。

顎の筋肉がゆるむと、肩や首に奇跡的な変化が起こります。ここで注意してほしいことがあります。これは、掃除のしはじめに部屋中のホコリが舞い上がるのに似ています。顎がリラックスしはじめるとあくびが出ますし、疲れやめまいを感じるかもしれません。この段階を抜ければ、その後はずっと楽になります。

次の探求をする際、いつでも休んでいいことを忘れないでほしいと思います。あまり長い時間、顎の関節や筋肉を触り続けない方がよいでしょう。

・耳を開く

耳の穴に指を入れ、やさしくその指を前の方に押しつけます。顎を開くとその動きが指に感じられ、耳の穴が大きくなったと感じられるでしょう。これは、顎関節が耳のすぐ前にあるからです。顎を動かしているとき、耳の軟骨の前でどのように顎関節が動くか感じてみましょう。口を開けるとき、顎は前に動きます。もっと大きく開けると、下顎の突起は下、前に動きます。顎をゆっくり開くと、それにつれて耳の穴も広く、大きくなるのが感じられるでしょう。これは口を開けてもっとよく聞こえるようにするためです!びっくりして顎が落ちるのは、もっと信じられないようなことを聞く準備をしているのです。

もう一度指を耳の穴の中に入れて、顎の力を抜いて、退屈したように“はい、はい、はい”と声に出して言ってみましょう。耳の穴の前で、下顎の突起が前後にスライドしているのが感じられるでしょう。

・顎のへりをマッサージする

おやまあ、という感じで右の頬に手を置き、親指は顎の骨のカーブに休ませておきます。ここにある顎の角はすぐわかるでしょう。このポイントを少しマッサージしてから、親指を顎の下にスライドさせ、パイの生地をこねるようにときどき内側に押しながら、ここもマッサージします。最初はスポンジのような組織を感じるでしょう。ここは舌の下にある唾液腺です。この下顎の骨の縁全体に沿ってハンモックのように顎の底の筋肉(顎舌骨筋)があります。

触れることによって、筋肉の張りにバランスをもたらすことができます。

右顎の角から先端までを2~3回揉みほぐします。その後、両腕を身体の横に垂らします。驚くかもしれませんが、右側の方がリラックスしています。口の底にある筋肉が首や顎をリラックスさせているのです。

左側も同様に行います。

・咬筋を溶かす

フランクリンメソッド4

最初に、手で頬骨に触れます。頬骨は顔にある比較的小さな骨で、眼窩の外側を形成しています。隣接する側頭骨とともに、耳に向かうこの部分を頬骨弓と言います。この眼の下の骨に指を置いて、耳の前1センチまで、頬骨の上を指でスライドさせます。今、手は側頭骨の弓の部分に置かれています。

今度は頬骨から顎の角に向かって斜め下に頬をなでます。ここにあるのがとても強い筋肉、咬筋です。

咬筋の上で3~4回指でなでます。指がバターの塊の中を通っていくような感じで行います。咬筋にひっかかりが感じられる部位があったら、少しの間指先をそこに置き、緊張が溶けていくところをイメージしましょう。

顔の両側を同時になでましょう。

・顎の位置は全身の姿勢に影響する

ここでは顎の位置にとって大切な、小さな筋肉にフォーカスします。耳の前1センチあたり、頬骨の下に凹みがあります。この凹みの下に、顎の噛み砕く動きに関係が深い筋肉があります。外側翼突筋といいます。

この筋肉がリラックスすると、肩、首に魔法のような影響を及ぼします。外側翼突筋は顎を前に引く筋肉です。

下顎を少し前に突き出して、どんな感じがするか観察します。攻撃的な行動をとるときにする表情でもあるので、この筋肉に不快な緊張が溜まってしまうのもうなずけます。外側翼突筋は顎のみならず、身体全体の緊張の鍵となる筋肉です。

・外側翼突筋をゆるませる

顎を左右に動かします。両側、同じように楽に動かせますか?

指を耳の穴の前に置くと、下顎の突起の上になります。顎を少し開けると、外側翼突筋の小さな凹みがわかるでしょう。さらに大きく開けると、凹みは下顎頭で隠れます。顎を半ば開けて、その凹みに指をあてます。

この凹みが深く、やわらかくなっていくところを想像します。この凹みから呼吸している感じで指を置くと、小さなレーザー光線が緊張を溶かしていくようです。

両手を頭の後ろに置いてサポートしながら、首を後ろに倒します。あまり大きく開けすぎないようにしながら、顎を開きます。この動作は外側翼突筋を伸ばします。このポジションで、顎をいったん前に突き出し、またゆっくりと開きます。頭の後ろに置いてある手で、頭をまっすぐな位置に戻します。

咬筋と外側翼突筋をゆるませるもう一つの方法は、うつ伏せになって顎の下にボールを置き、ゆっくりとボールを動かすことです。最初はとてもやわらかいボールから始めましょう。

フランクリンメソッド5

・側頭筋の流れをつくる

フランクリンメソッド6

側頭筋は、頭蓋骨の耳の前、上の広い部分からはじまる顎を閉じる筋肉です。歯を食いしばるときにこめかみで盛り上がってくるのがこの筋肉です。頬骨の下を通り、下顎骨の突起の1つ、筋突起に付きます。指を使って円を描き、眼の高さまでこの筋肉をマッサージしましょう。

側頭筋が頬骨の下に流れ、頬骨が上に浮き上がるところを想像しながら、側頭筋を上から数回なでます。

指を頬のふくらみに置き、そこから耳の方へ移動させると、側頭筋が付く下顎骨の突起があります。ここは、顎を少し開き気味にして、頬骨のすぐ下に触れると分かりやすいでしょう。このポイントをマッサージします。少し傷みがあっても驚かないでください。正しいポイントを探り当てることができると、顎、首が即座にリラックスします。

 ・首の風船

フランクリンメソッド7

頭の後ろに小さな風船が浮かんでいて、頭の後ろ側を持ち上げているところをイメージします。同時に、顎を下げます。背骨がまっすぐになり、呼吸が落ち着いてきます。首に力を入れてまっすぐにしようとするのではなく、イメージの力を借りて自然に頭が持ち上がるのに任せます。

■舌をリラックスさせる

私たちはよく無意識に舌を緊張させています。舌は、頭蓋底と顎に筋肉と靭帯でつながっているので、首や骨の緊張に関係があります。舌は、喉頭の上にある舌骨に片方の端だけつながっている筋肉です。物を飲み込むとき、口蓋と舌の間に一時的に関節ができます。これは、舌を口蓋につけずに物を飲み込もうとすればわかると思います。

 舌はどのように動かせるのでしょうか?突き出す、引っ込ませる、上下、左右に動かすこともできます。これらの動作は主に舌の外側から舌に付く外舌筋によってなされています。舌は先端まで筋肉がつまっていますので、さまざまな形をとることができます。内舌筋は層になっています。垂直舌筋が収縮すると、舌は平らになります。舌を厚ぼったくしたければ、舌の前から後ろに横に走る横舌筋を収縮させなくてはなりません。

・うなずきと舌

首と舌をリラックスさせてうなずいてみましょう。次に、口の中で舌に力を入れながらうなずきます。首も一緒に力が入るのがわかりましたね。では、舌を右の頬につけながら頭を右に、そして左に動かします。どちらに向きやすいですか?このように、舌の位置は首の動きに関連していることが感じられます。舌と首に関連がある理由は、胎児のときに舌を作る組織が頭の後ろの組織からつくられていることにもよります。

人の身体は、部分ごとにできている虫のようです。幸い、現在の姿はそのようには見えませんが。舌は、後頭骨とそれに付く筋肉ができたところとおなじ組織からできています。舌に刺激を与える第12脳神経である舌下神経は下に向かっており、神経伝達も下方向に起こります。指を後頭骨と首の筋肉の上に置くと、この道をたどることができます。ここが舌の組織のはじまりで、背骨の周りで2つになり、背骨を回って前へいたる部分と、食道をまわって舌になった部分ができました。このことから、舌は首よりは後頭部と関係が深いのです。

・やわらかい舌、やわらかい首

両手の中指を首の後ろにある凹みに置き、親指は顎の下にある口の下の筋肉に置きます。舌がとてもリラックスしてやわらかくなり、口の床にあたる部分もやわらかくなってくるところを想像します。このやわらかさを失わないようにしながら、頭を少し前後に動かします。舌が首から垂れ下がっていると想像してもいいでしょう。舌を少し動かすと、首が反応するのが感じられるでしょう。とくに舌を奥に引っ込めるとよくわかります。

・ハンモックでくつろぐ舌

フランクリンメソッド8

舌は舌骨の上にあり、舌骨が顎や後頭部に筋肉や靭帯でつながっています。これはまるで、舌が骨ばったロッキングチェアの上で休んでいるような感じです。喉頭のすぐ上にある舌骨に触れ、この上に舌が休んでいるところを想像しましょう。頭をさまざまな方向に動かし、舌の反応を観察します。舌はリラックスしたままでいられるでしょうか、それとも頭の動きに反応してこわばることがありますか?喉頭の上にある舌の根っこの部分にフォーカスし、リラックスし続けていましょう。

※「フランクリン・メソッド 首のリラックス 肩の解放」
  エリック・フランクリン スキージャーナル株式会社

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