ドクター ガムを20分噛めば仕事の効率は2倍になる
2014.09.13
つらいときに、無意識に歯を食いしばっていた経験はありませんか?実は、この「食いしばる」つまり「噛む」行為は、体や心のストレスを解消してくれることが最近の研究で分かってきました。私たちが悔しいときなどに無意識に歯ぎしりをしたり、大リーガーのバッターが打席に立つ際にクチャクチャとガムを噛むことは、ストレス反応を最小限にとどめようとする対処行動なのかもしれません。
もちろん、常日頃から歯ぎしりをしていたら、周囲の人から迷惑がられますし、当然歯にいいわけはありません。そんなことをしなくても手っ取り早くストレスを減らす行動が「ガム」を噛むことです。噛むことは、歯や顎を動かすだけの単純な運動ではなく、脳の中で高度な統合機能が関与して成立する運動と言われています。脳の活性化のみならず、快感物質の分泌を脳内に起こし、安心感や幸福感を呼び起こすとも言われています。
仕事中にガムを噛んだりなんてできないという人は、休憩時間に噛むことをおすすめします。ただし、ガムを噛む場合は20分以上噛むほうがより効果的とのデータもありますので、できれば長めの休憩時間に噛むのがいいでしょう。基本的には「噛む」という行為が大切なので、ガムの種類にこだわる必要はありません。ただし、頻繁に噛む場合はあまりカロリーが高いものや砂糖含有量が多いものは避けたほうが無難でしょう。
実は、休憩時間のガムだけではなく、噛むという行為は健康にとって大切です。マウスの研究ですが、長期間軟らかい食事を摂ったマウスは、硬い食事を摂ったマウスに比べて学習能力の低下が認められました。また、よくかむことで短期記憶の能力が向上することもわかっています。ついついサプリメントや野菜ジュースなど、あまり噛まないもので食事の代用をしていると、せっかくの「噛む」ことによる様々な効果が得られなくなります。
また、忙しいビジネスパーソンがついつい食べがちな牛丼やカレーライスなどのスプーンですくって食べられる食事は、平均7分間で済むとのデータもあります。これは噛まずに飲み込むスピードです。早食いは太る原因の一つであり、噛むことが少ない食事はストレス解消の咀嚼の機会の消失です。
※『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』 裴 英洙 ダイヤモンド社
院長からのコメント
確かに噛むという行為には、ストレスを減らす、脳を活性化する、だ液の分泌を促すなどのメリットはありますが、許容量を超えれば、歯の破折や動揺、顎の関節・筋肉の痛み、口が開かなくなるなどの障害を生むことにもなります。何事にも限度をわきまえてということになります。