ドクター 高血圧は薬で下げるな!
2017.10.18
高血圧の治療に対する大きな問題点
- 適切な臨床試験による裏付けにない新基準値、この基準値改定が膨大な「患者」を生む。
- 日本では適切な臨床試験がほとんどゼロに等しい。
- 降圧剤の長期の害の問題がきちんと解明されていない。ただ、降圧剤の長期使用は数少ない臨床試験の中ではがんの危険性が増すことが証明されている。
- 薬が高価である。
血圧は必要に応じて高くなる
血液には、酸素や栄養素を全身の細胞に運ぶという大切な役割がある。加齢に伴い、誰でもある程度は血液の循環が悪くなるため、酸素や栄養分を細胞の隅々まで送り届けるのが困難になる。
そこで、心臓は送り出す圧力を強くして血圧を上げて、栄養を全身に送り届けようとする。そのため、加齢に伴ってある程度血圧が上昇するのはむしろ自然なことなのである。その血圧を無理に下げすぎると、どうなるのか?細胞に必要な栄養が届けられないという弊害が生まれる恐れがあるのである。
また、高血圧の原因は、加齢や血液循環の悪化だけではない。ストレスや肥満、運動不足、塩分のとりすぎ、栄養バランスの悪い食事など、さまざまな要素が絡んでいる。そのため、高血圧の原因となるもともとの要素を改善しないで、薬で血圧だけを下げることは、車でいうとアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものなのである。当然、体に無理な負担がかかってしまう。
降圧剤に、肝腎の自立の程度を高める効果がなく、むしろ血圧が少々高めでも降圧剤を飲まない方がより自立の程度が高くなる。こんな確かなデータがあるのに、それでも降圧剤を飲むべきであろうか。
この調査では、降圧剤の種類までは特定されていないが、おそらく当時の主流(現在でもそうであるが)であったカルシウム拮抗剤が多数使われていたと思われる。薬で無理に血圧を下げると、自立度が低くなるというのは注目すべきデータである。
つまり高齢者にとって、全身に栄養を行き渡らせるために、血圧がある程度高めになることは自然なことなのである。それを無理に薬で引き下げることで、細胞の隅々へ栄養がいきわたらなくなり、自立度が低下するものと考えられる。
脳への栄養が不足すれば脳の働きが衰え、認知障害が増加する可能性も心配される。
一度や二度の測定で高血圧と決める必要はない。血圧はいろんな条件により変動するものである。
血圧を上げる作用を持った薬剤
1.アドレナリン系統の薬剤(そのものずばりの昇圧剤でもある)
- フェニルプロパノールアミン(=PPA)含有薬
※現在では市販されなくなっている - 鼻詰まりの薬
※血管収縮剤・・・エフェドリン系、プソイドエフェドリンなど - 咳止め
※エフェドリン系 - かぜ薬
※咳止め入りのもの - 喘息の薬
※アドレナリン系=β作動剤 - 漢方薬
※麻黄、小青竜湯など・・・いずれもエフェドリン系薬剤が入っている - 昇圧剤
※ずばりそのもの・・・エホチールなど
2.抗炎症剤、解熱剤(血管収縮作用があるため血圧が上昇するが、低下することも少なくない)
- 非ステロイド抗炎症剤
- 解熱鎮痛剤
※非ステロイド抗炎症剤は解熱鎮痛剤としてもよく使われる - ステロイド剤、ACTH
※副腎皮質刺激ホルモン - 甘草、グリチルリチン
3.ステロイド以外のホルモン剤、ホルモン代謝剤
- 甲状腺ホルモン
※一般的に最高血圧のみ上昇、最低血圧はむしろ低下する - インスリン及び経口血糖値降下剤
※低血糖時にアドレナリンが出るため
4.精神・神経系薬剤及びその類似薬剤(血圧が下がることも上がることもある)
- 三環系抗うつ剤
- SSRI
※うつ病、パニック障害用の薬剤 - 抗精神病剤
※フェノチアジン、ブチロフェノン剤など - 制吐剤
※メトクロプラミド - 抗潰瘍剤
※スルピリド - ある種の抗ヒスタミン剤
※オキサトミド
5.抗パーキンソン病剤
6.アルツハイマー用剤
7.片頭痛用剤
※すべて血管を収縮する作用があるため
8.輸血・血漿代用剤
※ナトリウム過剰、浸透圧過剰により血圧が上昇しうる
9.その他
- 抗がん剤
- 造影剤
- 麻酔剤
- 経口避妊剤
- 麻酔拮抗剤など
結論
この本では、60歳未満でも180/100まで無治療でよい。2~3週間の減塩、軽い運動、ストレスの解消、十分な睡眠、バランスのとれた食事などでたいてい正常になる。私もそう思う。また、血圧を上げる薬・下げる薬を併せて服用すると、数値を見ても分からなくなる。
※「高血圧は薬で下げるな!」 浜 六郎 角川書店