金属アレルギーになっちゃった!? ~どうしてかぶれるの?~
アクセサリーや日常使っている金属で、かゆくなったりした経験はありませんか?
冬場はあまり気にならなかったのに、汗をかく夏になったらなんだかかゆくなってきた・・・
なんて事もあるのではないでしょうか??
その症状、もしかしたら『金属アレルギー』かも知れません!!
人の体内にはカルシウム・カリウム・ナトリウム・鉄・マグネシウム・亜鉛など多数の金属元素が含まれています。これらは、健康な人体を作るために必要な金属です。
しかし、皮膚と接触する事で拒絶反応を起こし、かぶれなどの症状をもたらすことがあります。
これが
『金属アレルギー』(アレルギー性接触炎)
なのです!!
歯科用金属でもアレルギーは起こるの??
虫歯になった時、歯の治療にも金属は使用されます。
特に、お口の中は唾液によって金属がイオンとして溶け出すことがあり、アレルギー反応を起こすことがあります。
金属のかぶせものが原因と考えられるアレルギー
お口の中の金属の腐食原因
- プラークや電解質溶液(唾液)などと、つねに接触する
- 有機酸などの金属を腐食する物質が存在する
- 飲食物の摂取によってpHも温度も変化する
- 金属修復物は隣接する歯間部で隙間腐食を起こす
- 異種金属の接触によるガルバニー腐食が起こる
- 咬合力による応力腐食が起こる
- 歯ブラシなどによる擦過腐食が起こる
アレルギーを起こしやすい金属
歯科用合金としてよく使われ、アレルギーを起こしやすい金属にはアマルガム合金や銀合金などがありますが、現在アマルガムは新たな治療では使用できません。
一方、インプラント(人工歯根)の材料に良く使われるチタンはアレルギーを起こしにくいと言われています。
歯科金属アレルギーの特徴
歯科金属アレルギーは、口腔内の金属が原因にあるにもかかわらず、その症状は口腔内にほとんど発症せず、口腔内から遠隔の皮膚に発症することが極めて多いということがわかっています。
症状としては、全身ではアトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、湿疹、乾癬、にきびなどがあり、口腔内では脱毛症口腔内違和感・口内炎、口腔扁平苔癬などがあります。
また、アレルギー原因の金属を取り除いても、1年以上症状の改善が見られないこともあるという研究報告もあります。
日常生活の中でも注意!
歯科金属を原因とするアレルギー疾患があったとしても、それが多因子によって引き起こされている疾患である可能性がある―。
研究ではこのような報告があります。
どういうことでしょう?
例えば、全身性接触皮膚炎では、歯科金属だけでなく、金属を多く含む食品から経消化管的に吸収される金属についても注意する必要があります。
にきびや湿疹の原因としてニッケルを多く含むチョコレートなどの食品がアレルギーを引き起こすことはよく知られています。ピーナッツなどの種実類や、大豆やお茶には、ニッケルが多く含まれています。しかも、実際に私たちは加工品の形で摂取するため、知らず知らずのうちにニッケルを吸収している可能性すらあります。
また、缶詰製品や金属製調理器具からも金属を吸収することもあります。もちろん、水道水中にも金属は含まれており、長時間、水道を使用していない朝一番の水道水には金属濃度が高いこともわかっています。その場合、流し始めてから1分間以上はその水道水を使用しないなどの対応策も有効です。
授乳中の母親がクロムを多く含むチョコレートとココアを毎日多量に摂取していたため、その母乳中にクロムが含まれてしまい、母乳を飲んだ乳児の足の裏に汗疱状湿疹が発症したという報告もあります。
このように、日常生活のなかで、金属を吸収する機会が多いことも知っておきましょう!
※参考書籍
「見分けて治そう!歯科金属・材料・アレルギー」
編著 高永和、高理恵子 クインテッセンス出版株式会社
「新歯科技工士教本 歯冠修復技工学」
全国歯科技工士教育協議会 編集
医歯薬出版株式会社