Question
私は72歳ですが、健康のために軽いスポーツを始めたいと思っています。巷では生涯スポーツと言われていますが、体を動かしたいのです。外傷予防はありますか?
Answer
最も起こりやすいのは転倒による外傷です。
転倒の要因は以下を参照してください。
(小玉敏江ほか編著:転倒の予防と看護(江藤真紀著), 高齢者看護学. 196-204, 中央法規, 東京, 2003.)
●内的要因
1.運動要因
筋力低下、筋持続力低下、協調運動障害、姿勢反射低下、など
2.感覚要因
視覚障害、前庭覚・平衡感覚障害、深部知覚障害、など
3.高次機能要因
意識障害、認知機能低下、記憶障害、睡眠不足、など
4.心理要因
自信過剰、遠慮がち、興奮、うつ、転倒後症候群、など
●外的要因
1.環境要因
脱げやすい靴、滑りやすい靴、床面の段差、暗い照明、など
2.薬物要因
睡眠薬、抗精神病薬、降圧薬、筋弛緩薬、など
生涯にわたってスポーツを楽しむためには、自らのコンディションを良好に保つ健康管理が重要です。また、健康維持のためには十分な栄養摂取が不可欠で、さらに十分な栄養摂取のためには口腔内を健康に保つことが求められます。う蝕、歯周疾患、欠損補綴、顎関節症などの早期治療、口腔衛生管理によって口腔内の環境を常にベストな状態にし、競技中のパフォーマンス発揮を妨げることのないよう啓発していく必要があります。
一方で、十分なパフォーマンスを発揮した後は、十分な休養が必要となります。また、不十分な睡眠は競技結果に悪影響を及ぼすことが知られています。途中覚醒がなく持続性の高い睡眠のためには、これを妨げる要因である睡眠関連障害、たとえばブラキシズム(歯ぎしり)や閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea syndrome;OSAS)などの問題を歯科医師に対応してもらう必要があります。健全な口腔状態を保ちながら生涯スポーツによる健康づくりを実践し、ADLやQOLを向上させましょう。
※参考書籍
「要説 スポーツ歯科医学」
編集 石上惠一 上野俊明 川良美佐雄 前田芳信 安井利一
医学情報社