Question
インプラントはフッ素で腐食するのでフッ素入りの歯磨き粉などの製品は使わない方がいいと聞きました。本当なんでしょうか?
Answer
私は、フッ素はインプラントに対して悪影響を及ぼすことはほとんどないと考えています。それよりもお口の中に残っている歯を守るという意味でフッ素を使うことをオススメします。
フッ素はインプラントの素材であるチタンに影響を与えることはなく、一方で上部構造のセラミックのつやをなくすことが知られています。しかし、歯磨きをした後、みなさんうがいをされると思います。うがいによってお口の中のフッ素濃度はごくわずかになります。その濃度では上部構造に対する影響はほとんどないというのが私の考えです。
また、2017年現在、次のような最新の報告がなされました。
『インプラントの腐食・劣化のメカニズムは、「口腔内にフッ化物が存在すると水素イオンとの結合で微量のフッ化水素酸(HF)が生成され、これがチタン表面の不働態皮膜である酸化膜を破壊する」というものです。これにより、インプラントを装着した患者を対象としたフッ化物無配合歯磨剤が販売されることに至りました。
一方、日本口腔衛生学会は、むし歯予防の効果が科学的に証明されているフッ化物の使用を中止することで残存歯のむし歯のリスクが増大することを危惧し、フッ化物によるチタン腐食の問題についてフッ化物応用委員会がいち早く声明を出しました。学会は、日本の歯磨剤や洗口剤を使用したときに口の中に残るフッ化物イオン濃度は微量であるから、日常的に使用して差し支えないとの見解を示しています。』
また何かありましたらご相談ください。
※参考書籍
「日本歯科医師会雑誌 2017 vol.70 No.2」
公益財団法人 日本歯科医師会