Question
むし歯が減っているって言われていますが、大人のむし歯は減っていないってホント?
Answer
むし歯は全体としては昔より減っているのは事実です。しかし、それは子どもと若者に関してのことで、中高年のむし歯はそれほど減っていません。
むし歯(処置した歯を含む)を経験した人の割合の推移を、年齢別に示した図をご覧ください。
永久歯のむし歯保有者率の推移(歯科疾患実態調査)
19歳以下の年齢集団では、昔と比べて大きく減少しているのですが、一方で25歳以上ではほとんど減っていないことが分かります。
中高年になると、歯ぐき(歯肉)が後退して歯の根元部分が現れてきます。ここにプラーク(歯垢)が堆積し、その中の一部の細菌から酸が産生されて歯が溶けたものを「根面むし歯」といいます。
歯ぐきが後退する理由は、加齢、不適切なブラッシング、歯周病などです。歯の表面は硬くて丈夫なエナメル質で覆われていますが、歯の根元部分は薄いセメント質で覆われており、その下には軟らかい象牙質があります。そのため、歯ぐきが下がり、歯の根元が露出すると、むし歯になりやすくなります。
大人むし歯の有病率(歯肉退縮がある者での割合)
「根面う蝕の臨床戦略」(杉原直樹・高柳篤史監著、18ページ、クインテッセンス出版株式会社、2018年)より引用改変
男性は30歳、女性は40歳以上になると大人むし歯が増加してきます。大人むし歯の一番大きな原因は歯ぐきの後退ですので、この原因を取り除き、かかりつけの歯科医院で定期的な歯科検診を受け、保健指導(ブラッシング指導)や予防処置を行ってもらうことが大切です。
※参考書籍
「月刊糖尿病ライフさかえ 2022年5月号」
公益社団法人 日本糖尿病協会