Question
フッ化物について知りたいんですが・・・。
Answer
フッ素は反応性の高い元素で、自然界では基本的に単体で存在することはなく、他の元素と結合してフッ化物として存在します。私たちが日常で摂取している飲食物(お茶、海藻、魚や野菜など)にも、フッ化物は多く含まれています。
世界中でむし歯のコントロールに多大な貢献をしているフッ化物ですが、歯科の歴史においては、歯のフッ素症(斑状歯)の原因として登場しました。山の岩石にはフッ化物が多く含まれ、それが溶け出た川の水を飲んでいた子供たちの萌出歯に、褐色の斑点が見つかったのです。しかし、その子供たちを調べてみると、むし歯の発生が少ないことがわかりました。
そのため、しばらくはフッ化物を体内に摂取することがカリエスコントロールにつながると考えられ、塩、小麦粉、錠剤や水道水などでのフッ化物摂取が推奨されました。現在は、フッ化物を配合した歯磨剤などを使用することにより、常にフッ化物が口腔内に存在することがカリエスコントロールに重要であり、体内に摂取する必要はないことが明らかになっています。
それどころか、体内で永久歯が形成される幼児期にフッ化物を過剰摂取すると歯のフッ素症を引き起こし、歯の結晶がもろくなってしまいます。またフッ化物は塩と同様、過剰摂取すると急性中毒を起こしますので、注意が必要です。
フッ化物に対する正しい知識を得て、カリエスコントロールに有効活用しましょう。
※参考書籍
「カリエスブック」 伊藤直人 著 医歯薬出版株式会社