Question
歯周病に対して抗生剤が効かないって本当?
Answer
日本歯周病学会は「歯周病患者における抗菌療法の指針」に、根拠に基づいた歯周病治療での抗菌薬の使用法について示しています1)~3)。指針では、歯周病における抗菌療法は、検査からサポーティブ治療までの、系統的かつ基本的な歯周病治療体系のなかで計画的に実施することが重要としています。
抗菌療法の目的は、
- 急性症状の軽減
- SRPによる臨床的治療効果の促進
- 菌血症の予防
- 歯周治療後の感染予防
です。
症例ごとに目的を明確にすることが重要です。歯周基本治療前あるいは基本治療後に、細菌検査や薬剤感受性検査を実施して、検査結果に基づいて抗菌療法を行うことが望まれます。抗菌薬の乱用や漫然とした使用は耐性菌を生み出すため厳に慎むべきです。
1)日本歯周病学会 編. 歯周病患者における抗菌療法の指針 2010. 医歯薬出版. 2011.
2)佐藤 聡. 高齢者の歯周病治療での抗菌療法の位置づけ. 国際歯学士日本部会誌. 2011; 42(1): 25-29.
3)三辺正人, 吉野敏明, 田中真喜 編著. ペリオドンタルメディスンに基づいた抗菌療法の臨床. 医学情報社. 2014; 38-40.
抗生剤の作用機序
抗生剤を飲むと、元気な菌は抗生剤を取り込みます。休眠菌は抗生剤を取り込みません。つまり、休眠中は抗生剤が効いていないのです。
そして、ある一定時間が経過すると、細菌はよみがえります。さらに、抗生物質の濃度も低下します。
抗生剤は効くのは一瞬、元に戻ってしまうのです。
※参考書籍
「歯科衛生士が治せる歯周病治療メソッド」
天野 敦雄 株式会社 医療情報研究所
「歯界展望別冊 Q&A 歯科のくすりがわかる本 2020」
一戸 達也 編 医歯薬出版株式会社