Question
根っこだけしかない歯を残すために、どんなことをすればいいですか?
Answer
根っこの処置をするにしても、歯冠の処置をするにしても、フェルールというものが必要となってきます。1.5~2.0mmくらいの歯質を歯肉縁から出さなければなりません。
現在残っている根っこが歯ぐきから出ておらず、歯ぐきの縁下にある場合は、①歯ぐきの周りの骨を削って歯質を出す、②矯正的に歯質を引っ張り出す、のいずれかの処置を行うことになります。それぞれの処置の禁忌症状に注意してください。
①歯ぐきの周りの骨を削って歯質を出す処置の禁忌症
- 外科的処置が禁忌である場合
- 隣在歯の大きな歯槽骨切除が必要な場合
- 歯冠修復不可能な歯
- 歯内治療の予後不良歯
- 保存不可能な歯周炎罹患歯
- 適切な歯冠-歯根比が得られない歯
- ルートトランクが短く、根分岐部が露出してしまう歯
②矯正的に歯質を引っ張り出す処置の禁忌症
- 十分な補綴スペースが存在しない場合
- アンキローシスまたはセメント質肥大がある場合
- 挺出によって根分岐部の露出の危険性がある場合
- 歯根離開が大きく、隣在歯根に接して挺出の干渉になる場合
- 不十分な歯冠-歯根比になる場合(すでに歯冠-歯根比が1 : 1未満)
※参考文献
「残根歯に根管治療を行うための環境創出について」
柴秀樹1)、永原隆吉2)、田地豪3)、白輪地聡美1)、進藤智1)、中西惇1)、吉田和真1)、芥川桂一1)、西藤法子1)、平田-土屋志津1)、武田亮浩1)
1)広島大学大学院医系科学研究科歯髄生物学研究室
2)広島県(日本鋼管福山病院)
3)広島大学大学院医系科学研究科口腔生物工学研究室
日歯内療誌 41(3) : 155~164, 2020