Question
私は糖尿病ですが、インプラントをしても大丈夫?
Answer
まだはっきりと「糖尿病はインプラント治療におけるリスクである」とは言えません。
糖尿病患者におけるインプラント治療は、さまざまな角度から検討したところ禁忌症とはいえず、十分に注意して行うことにより非糖尿病患者と同様にインプラント治療が行えるかもしれません。
しかし、創傷治癒不全や易感染性を甘くみてはならず、インプラント治療が重篤な併発症を引き起こすリスクとなりうることを否定することはできません。そのため、血糖値のコントロールをしっかりと行うことのできる患者にインプラント治療は行うべきであり、医科との連携を図りながら治療は行われるべきであると考えます。
抜歯や歯周外科処置を含む観血的処置の場合でも、休薬を勧める必要はないと結論づけられています。
日本口腔外科学会を含むガイドラインにおいても、International Normalized Ratio (INR)が3.0以下の患者であれば歯周外科治療においても術後の出血に有意差はなかったという報告もあり、インプラント治療も基本的には同様に考えられます。しかしながらINRが高値の場合には、侵襲を少なくする術式の選択が必要となる可能性があります。
一般社団法人日本有病者歯科医療学会、社団法人日本口腔外科学会、一般社団法人日本老年歯科医学会 編. 科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2010年版. 東京:学術社, 2010.
ただし、インプラント周囲炎ではリスクが1.5倍高いと結論付けられています。
Monje A, Catena A, Borgnakke WS. Association between diabetes mellitus/hyperglycaemia and peri-implant diseases : Systematic re-view and meta-analysis. J Clin Periodontol 2017 ; 44(6) : 636-648
また、日本口腔インプラント学会が刊行している治療指針(2016年度版)は、空腹時血糖:140mg/dL以下、ケトン体(-)、HbA1c:6.9%(NGSP値)未満の者にインプラント治療は行われるべきであると示しています。
治療後の定期検診は必ず行くことをおすすめします。
※参考書籍
「口腔外科ハンドマニュアル’20 日本口腔外科学会編」 クインテッセンス出版株式会社
「インプラントの迷信と真実」
中居伸行、大月基弘 著 クインテッセンス出版株式会社