Question
オーラルフレイルと口腔の関係を教えてください。
Answer
オーラルフレイルとは
オーラルフレイルは老化に伴うさまざまな口腔(こうくう)環境(口腔衛生など)、歯数および口腔機能の変化、さらに心身の予備能力の低下も重なり、口腔の健康障害に対する脆弱性が増加し、最終的に食べる機能の障害へ陥る一連の現象および過程と定義されています。
齢になると仕事をリタイアするなどで活動量が減り、身体機能の低下も伴って意欲が低下します。意欲の低下は口腔の健康への関心を低下させ、定期的な歯科受診をしなくなったり、セルフケアがおろそかになったりします。これにより歯周病が悪化したり、う蝕(うしょく:むし歯)が増加したりすると、痛みなどのため咀嚼(そしゃく)しなくても済むような軟らかく、食べやすいものを食べるようになります。
また、会話や外食の機会も減少し、活舌の低下、食べこぼし、わずかなむせ、噛(か)めない食品の増加など、“口の衰え”が加速します。さらに、好物が食べにくくなったり、口の中に痛みがあったりすると、食欲が低下して必要な量の食事がとれなくなり、栄養のバランスもわるくなるなど栄養状態が悪化します。
このような状態が続くと、筋肉など身体組成や免疫、代謝といった機能も保つことが困難になってきて、さらに意欲が低下するという悪循環に陥ることになります。
つまり噛めないことで、軟らかい食事を摂取すると、砂糖や塩を摂取する割合が高くなり、糖尿病や高血圧症などが悪化してしまう可能性が高くなるだけではなく、たんぱく質やビタミンの摂取が減少し、筋肉や身体機能を維持できなくなる可能性があるのです。
※参考書籍
「月刊 糖尿病ライフ さかえ 2018年8月号」 日本糖尿病協会