Question
歯は歯槽骨のなかに植わっているけど、なにがこの2つをつないでいるのですか?
Answer
「噛むとき」「食いしばるとき」、歯は大きな力を受けます。この力が直接歯槽骨や脳にガンガン響かないように、歯根と骨のあいだには、歯を包み込んで衝撃を和らげるハンモックのような役割をしている膜があります。この膜は歯根膜といって、とても丈夫な強い糸でできていて、糸の両端は歯と歯槽骨に入り込んでいて、2つをしっかりとつなげています。
じつは歯根膜には、歯や骨を作ったり壊したりする細胞、血管、神経も含まれています。たとえば膜の歯槽骨側には骨を作る細胞がいつでも待機しています。歯の側では歯のセメント質という部分を作る細胞が働いています。
また、歯根膜は三叉神経という太い神経につながっていて、歯根膜が「噛んだぞ」と伝えると、その情報は脳の「やる気」「考える力」「記憶」に関係する場所を刺激することが分かっています。「噛むこと」は「元気に生きること」につながっています。その鍵となるセンサーが歯根膜のなかに隠れているんですね。
※参考書籍
「歯のしくみ 口のしくみ」
阿部伸一 クインテッセンス出版株式会社