Question
ある歯科医院に行って“歯磨きをするとよく出血するのですが”というと、悪い血はどんどん出してしっかり磨いてくださいと言われました。本当ですか?
Answer
出血は、血管が破れたということです。
動脈なら血管内の圧力が高いため血が外へ出るだけです。しかし、毛細血管や静脈だと、血圧は無いに等しく、出血時に周囲から血管内にバイ菌が入ってくる可能性があります。
口の中は細菌でいっぱいです。特に膿漏部分は歯根と歯肉がはがれ、ポケットと呼ばれる狭い空間が出来ていて、中に歯槽膿漏の原因菌と考えられる嫌気性菌がたくさん詰まっています。
歯ブラシでこすると、血管を順に圧迫し、血液を一方に押し流していきます。ブラシが通過して血液がなくなった部分は、真空(陰圧)になります。近くに穴があれば、そこから中へ物質が入り込みます。物質にはバイ菌がたくさん含まれますので、出血時のブラッシングは、バイ菌を吸い込ませて大変危険です。
このように、出血時に、ブラシの先で血管内を陰圧(周囲より圧力が低い状態)にして、バイ菌を血管内に揉みこむのは、悪い影響を及ぼす可能性が極めて濃厚です。
出血に構わずに磨き続け、それが成功して悪影響も現れず歯ぐきがよくなっていく患者さんも多いですが、これらは歯槽膿漏の進行のまだ浅い、若くて症状もひどくない人が中心でしょう。また、出血は全身への悪影響をもたらすこともあり得ます。
症状がどのくらい進んでいるかは、患者さんには正確にはわかりませんので、歯科医院に行き、診察を受けて進行度をチェックしてもらいましょう。
※参考書籍
「歯槽膿漏 抜かずに治す」 片山 恒夫 著 恒志会