Question
子どもの肥満はどのように評価したらよいのですか?
Answer
肥満とは、一般的に「正常な状態に比べて体重が多い状況、あるいは体脂肪が過剰に蓄積した状況」のことを言います。
成長期の子どもの肥満の評価は、身長と体重のバランスにより指標の値が異なるため、活用した指標について慎重に評価しなければなりません。小さい頃は太っていても成長とともに解消される子どもたちもたくさん目にします。このような意味では、生涯にわたり生活習慣病を予防できる素地を確立するために、好ましい生活習慣の確立を重視することが大切かもしれません。
一般的に使用されている指標
1.ローレル指数
学童期の肥満度を評価する場合に適しているが、成長の過程において個人差があることに注意。
「ローレル指数=体重(kg)÷身長(cm)3×107」
100以下 | やせすぎ |
101~115 | やせぎみ |
115~144 | 標準 |
145~159 | 太りぎみ |
160以上(身長150cm) | 太りすぎ |
170以上(身長130~149cm) | 太りすぎ |
180以上(身長110~129cm) | 太りすぎ |
2.肥満度
男女差や年齢差が考慮されており、成長の過程に個人差のある学童期に適しています。
まず、身長別標準体重を以下の表から求めます。
「身長別標準体重=a×実測身長(cm)-b」
男子
年齢/係数 | a | b |
---|---|---|
5歳 | 0.386 | 23.699 |
6歳 | 0.461 | 32.382 |
7歳 | 0.513 | 38.878 |
8歳 | 0.592 | 48.804 |
9歳 | 0.687 | 61.390 |
10歳 | 0.752 | 70.461 |
11歳 | 0.782 | 75.106 |
12歳 | 0.783 | 75.642 |
13歳 | 0.815 | 81.348 |
14歳 | 0.832 | 83.695 |
15歳 | 0.766 | 70.989 |
16歳 | 0.656 | 51.822 |
17歳 | 0.672 | 53.642 |
女子
年齢/係数 | a | b |
---|---|---|
5歳 | 0.377 | 22.75 |
6歳 | 0.458 | 32.079 |
7歳 | 0.508 | 38.367 |
8歳 | 0.561 | 45.0006 |
9歳 | 0.652 | 56.992 |
10歳 | 0.730 | 68.091 |
11歳 | 0.803 | 78.846 |
12歳 | 0.796 | 76.934 |
13歳 | 0.655 | 54.234 |
14歳 | 0.594 | 43.264 |
15歳 | 0.560 | 37.002 |
16歳 | 0.578 | 39.057 |
17歳 | 0.598 | 42.339 |
※「児童生徒の健康診断マニュアル(平成18年3月31日改訂版) 日本学校保健会発行」より引用
次に、肥満度を求め、下記の肥満度判定基準表から判定します。
「肥満度=(実測体重(kg)-身長別標準体重(kg))÷身長別標準体重(kg)×100」
-30%以下 | 高度痩身 |
-20%以下 | 痩身傾向 |
20~30%未満 | 軽度肥満 |
30~50%未満 | 中等度肥満 |
50%以上 | 高度肥満 |
3.BMI
身長の変化で判定結果が大きく変わるため学齢期には向かず、成人での使用が一般的です。
「BMI=体重(kg)÷身長(m)2)」
18.5未満 | やせぎみ |
18.5以上 | 標準 |
25以上 | 肥満度1 |
30以上 | 肥満度2 |
35以上 | 肥満度3 |
40以上 | 肥満度4 |
※「日本肥満学会による肥満の判定基準(1999.10 新基準)」
4.子どものメタボリックシンドローム
上述のように、成長期の子どもの肥満の評価は難しいのですが、一方で子どもの肥満の多くは成人肥満に移行すると言われており、高度な肥満は小児期からでも生活習慣病に罹患しています。
厚生労働省の研究班により、6~15歳を対象とした「メタボリックシンドロームの判定基準」が作られました。
1 | 赤信号 |
小学生:胴囲75cm以上 中学生:胴囲80cm以上 |
1 | 黄信号 | ウエスト÷身長(cm)=0.5以上 |
2 | 血圧 |
収縮期 125mmHg以上 拡張期 70mmHg以上 |
3 | 空腹時血糖値 | 100mg/dl以上 |
4 | 高脂血症 |
中性脂肪 120mg/dl以上 HDLコレステロール 40mg/dl未満 |
・1(赤信号・黄信号)に該当し、かつ2~4の血液検査項目が2項目以上該当する子ども
→小児メタボリックシンドローム
・1(赤信号・黄信号)のみ該当する子ども
→小児メタボリックシンドローム予備軍
※参考書籍
「歯と口から伝える食育」
岡崎 好秀・武井 典子 編著 東山書房