Question
最近顎関節症が子どもにも増えているそうですが、なぜですか?
Answer
かつて、顎関節症は大人の病気だと言われていましたが、最近では小学校高学年から中学生にかけて発症していることが多く見受けられます。これは、あまり噛みごたえのあるものを食べなくなったため、顎の骨や筋肉の発達が悪いことが考えられます。噛む機能に影響するだけでなく、肩こりや、頭痛などの症状と顎関節症の症状とは90%以上同じ側で起こり、顎関節症の軽快と同時にこうした症状もなくなることが多いから、顎関節症とある種の不定愁訴とは関連があると言われています。
また、頬づえや就寝癖から発症することもあり、口を動かした時に「カクッ」「ジャリ」など音がするような顎関節症の初期に態癖の指導をすることにより、自然治癒、あるいは進行を止めることが可能な場合があります。
噛み癖も顎関節症の原因のひとつです。片噛みの癖があると同じ側の顎関節が圧迫され、顎関節症になることがあります。機能的な問題を不正咬合(受け口、開咬、交叉咬合、過蓋咬合)があると噛み合わせが不安定になり、顎関節症が発症しやすくなります。ストレスが原因と考えられている就寝時の歯ぎしりやくいしばりも原因のひとつです。
幼児期から噛みごたえのある食品を食べ、顎の骨や筋肉を鍛えることと、態癖に注意することが顎関節症の予防につながります。また、ストレスをためない生活も大切です。ただし、症状がある場合には、噛みごたえのあるものを長時間食べることや、大きな口を開けることは症状を悪化させることがあるので、注意が必要です。
※参考書籍
「歯と口から伝える食育」
岡崎 好秀・武井 典子 編著 東山書房