Question
歯がなくなると身体運動に何か影響がありますか?
Answer
人の身体運動の中で、動きを停止するなど関節を固定したい時に、筋は等尺性の筋活動(筋力=負荷の状態)を行います。このようなとき、歯を噛みしめることによって顎の関節は固定され、この固定感が等尺性の筋活動を行いやすくさせます。
上腕二頭筋(屈筋)を例にした図
①短縮性筋活動(concentric muscle action)
筋の発揮する力>外部の力 筋長が短縮する
②等尺性筋活動(isometric muscle action)
筋の発揮する力=外部の力 筋長には変化が生じない
③伸張性筋活動(eccentric muscle action)
筋の発揮する力<外部の力 筋長が伸ばされる
もし、歯が全部なくなると、足を踏んばる、重いものを持ち上げるなど、ゆっくりとした力発揮に悪影響がでます。また、片顎の歯列が失われた場合には、左右の平衡感覚が低下します。しかしながら、このような影響はすべての人に現れるわけではありません。というのは、等尺性筋力発揮時に噛みしめのかわりに、顎を前方位や開口位で固定する人が1/3ほどいるためです。
※参考書籍
「口腔筋機能改善 コンディショニング技法の基礎知識」
姫野 かつよ 著 砂書房