ドクター 虫歯予防~pHと細菌の関係性~

2016.01.12

口腔内の細菌は常在菌であり、ヒトと共生しています。

そして、常在菌が生育・活動する環境にも良し悪しがあり、条件のひとつにpHがあります。

このことに関して、あけぼのちょう高橋歯科の高橋純一先生の記事を引用させていただいております。

高橋先生は記事を作成するに当たり、ブレス・デザイン デンタルオフィスの吉岡秀樹先生の記事を引用しています。

(以下、原文ママ)

夏井先生の細菌に対するご造詣から歯科は、基本から教わらなければならない。
高度な夏井先生に行くまでに、口腔内常在菌の基本から考えます。

phと歯周病の関係

(人体常在菌ー共生と病原菌排除能 ブレス・デザイン デンタルオフィス 作図より)

 

歯科関連の菌種ごとに寒天平板培地のpHを4.5~7.0まで0.5刻みに作り、増殖能力を観察したところ、pH4.5以下ではここに挙げた全ての口腔常在菌が増殖不可能になっています。乳酸桿菌や乳酸球菌などは、もう少し耐酸性が強くpH4.5付近まで生育可能です。pH7.0付近(中性)では、多くの菌が繁殖可能で、お互いに牽制しあって、特定の菌種の異常増殖が抑えられているため、問題が起きにくいと考えます。

pH5.0~5.5に維持されると、耐酸性の弱い菌は生育できず、ミュータンス菌や乳酸桿菌などの耐酸性の強めの菌だけが数多く検出されるという考え方もできます。 臨界PH5.5付近では、歯質は脱灰しても溶解はしません。但し、上記のようにミュータンス菌や乳酸桿菌が多く検出され、繁殖し、バイオフィルムを形成し、嫌気性菌繁殖環境が仕上がります。

以下は、虫歯予防の基本術式です。

1. 口腔内が酸性化したら素早く中和する

体質改善+中和剤:重曹、カルシウム製剤の活用

2. バイオフィルムは毎日、定期的に破壊する

プラークコントロール+PMTC

3. 高糖質でない良好な唾液中の酸素分圧を高めて、偏性嫌気性菌の繁殖を抑制

糖質制限+酸素・二酸化塩素製剤使用

4. フッ化物で歯質を強化し、耐酸性コーティングする

フッ化物の洗口や局所応用

歯周病菌の代表とされているPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)に至っては、pH6.0とちょっと酸性になっただけで生育できなくなってしまう点です。実際は、こちらもバイオフィルムで保護されていることに加えて、偏性嫌気性菌が持つニトロゲナーゼやウレアーゼによって、窒素や尿素からアンモニアを作り出し、酸を中和することで生育できる環境にしていることが予想されます。まるで、ピロリ菌と同じなので、うちの医院では、ピロリ菌の除菌療法を最初に行ってからプロバイオティクスと歯周基本治療に進みます。

(以上、同オフィス 原文を改変しております。)

 

ここから常在菌の勉強の基本を始めます。
以下は、ドクターズオーガニック のサイトから転載です。

 

細菌の好むpHについて

細菌が増える条件として、温度、湿度、栄養のほかにpHがあります。

菌の種類によって弱酸性で増えるもの、アルカリ性で増えるもの、どちらでも生きられるものがあります。

病原菌の多くはアルカリ性でよく増え、外膜に毒性のあるトゲを持っています。

人体の中の血液や体液はpH7.4前後と少々アルカリ性に傾いていますので、この菌は身体の中に侵入すると増殖し、毒性を発揮します。皮膚常在菌のうち、善玉菌は弱酸性の条件で増え、また、自らも弱酸性の皮膚を保つために脂肪酸の遊離を促しています。

表皮ブドウ球菌(善玉菌)の元気がなくなるとき

善玉菌である表皮ブドウ球菌やアクネ菌などにとって苦手な環境とはどういう環境なのでしょうか。それについてみていきます。

乾燥菌は乾燥が苦手です。皮膚常在菌も例外ではなく、皮脂や汗が少ない表皮では存在(増殖)することができません。

表皮ブドウ球菌やアクネ菌によって皮膚表面にある皮脂は分解され、肌を弱酸性にする脂肪酸が遊離されますが、皮脂が少ないと遊離される脂肪酸も少なく弱酸性を保つ事ができなくなります。

そうすると、黄色ブドウ球菌などアルカリ性で活発に働く菌が優位になり、肌の炎症をまねきかゆみや湿疹をおこします。運動不足の人またエアコンの効いた部屋で快適に過ごし、汗をかく習慣が無い人は、汗腺の機能が落ちています。

体温調節のためにエクリン汗腺からでる「いい汗=さらさら汗」は、99%が水分で残りは塩分、ミネラル、乳酸、尿素などです。身体に大切な成分は無駄にしないようにと、汗腺にはミネラルなどを再吸収するシステムがありますが、汗をかき慣れていない人ではその機能がうまく働かず、ミネラルたっぷりの汗をかいてしまいます。

ミネラル分の多い「悪い汗=ねばねば汗」はアルカリ性で、上記と同じように黄色ブドウ球菌が多く分布する事で優位になりかゆみ湿疹を起します。洗い過ぎが及ぼす影響水での洗顔で皮膚表面の細菌はほとんど流れ落ちてしまったかのように見えます。

しかし、通常は毛穴の中などに残っていた菌がすぐに増え始め、30分から2時間ほどで元に戻ります。

ところがクレンジングや洗浄剤を使って洗顔すると、肌はアルカリ性に傾きます。クレンジング剤は菌だけでなく、まだはがれ落ちるには早い角質細胞や細胞館脂質まで洗い流してしまうので皮膚は極度に乾燥します。

乾燥してアルカリ性に傾いた皮膚では、表皮ブドウ球菌やアクネ菌は増える事ができません。

皮脂が洗い流されてしまっている上に、菌の数が足りなくて、新たに出てきた皮脂を元に作り出される酸性物質が少ないため、肌は弱酸性になかなか弱酸性にもどりません。バリア機能も保湿能力も失われてしまいます。

健全な皮膚常在菌を育てる為には

洗いすぎないこと。

健全な皮膚環境を作るためには、まず洗いすぎない事が大事です。

強力なクレンジング剤は肌を傷めるだけでなく、常在菌にとっても住みにくい皮膚を作り出してしまいます。

メイク汚れはきちんと落とさなければなりませんが、強いクレンジングは使わないように心がけるべきです。

もちろん朝は水だけで洗顔をしましょう。できればメイクをしない日を時々は作りその日は朝晩ともに水だけで洗顔、肌と菌を守りましょう。水分や油分の補給洗顔後、ひどく乾燥するようならば水分や油分を補給しましょう。

ただし化粧品に含まれる防腐剤も常在菌を殺してしまうので要注意です。防腐剤無添加のものをお勧めします。食事と運動最後はよい汗をかく習慣を持つことです。

定期的に適度な運動をすることに加えてバランスのよい食事が大事です。知識をつけ自分にあった方法を見つける正しい知識を身につけ、自分にあったスキンケアを実行しましょう。

皮膚表面をできる限り自然な状態(弱酸性)に保ち、定着しているいくつかの常在菌のバランスを崩さず正しい方向に力を発揮してもらうために、自分はどのような部分が足りないかもしくは過剰かについて真摯にむきあって考え、それにあわせたスキンケアを行う必要があります。

高価な化粧水や石鹸、オイルが万人に効果のあるものではないということを知りましょう。

 

※参考サイト

「ブレス・デザイン デンタルオフィス」

http://www.breath-design.com/?eid=1409754

 

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